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「Vision2015─その想いに、こたえる。」を心に
今を見据えて次代へつなぐ

NCMメンバー6名による座談会

  • NCM TALK

創立から9年目の2013年、NCMは「Vision2015─その想いに、こたえる。」を10周年となる2015年に向けて発信しました。
クライアントの「その想い」とともに歩んできた現在まで、そして未来を、CM業務を担う6名が語ります。

※2015年発刊の10周年記念冊子より転載しているため、一部情報が現在と異なる場合がございます。

2009年入社
マネジメントグループ
マネジャー

清藤幹雄

2008年入社
マネジメントグループ
アシスタントマネジャー

岩阪聡一郎

2013年入社
マネジメントグループ
スタッフ

杉浦智也

2008年入社
マネジメントグループ 
スタッフ

伊藤嘉浩

2009年入社
マネジメントグループ
スタッフ

角田花菜

これからますます必要とされる
CMという仕事に惹かれ、職業とする

清藤
きょうは私がファシリテーターをつとめますので、おおいに語りましょう。
まず、簡単に自己紹介から。私は1995年に日建設計の土木部門に入社して、構造系の設計に携わっていました。さまざまなクライアントと出会い、また社内でも意匠設計や設備、コスト管理の人達と仕事をしていくなかで、お客様の傍にいて一つのプロジェクトの要となれるなら楽しいし、充実感があると思いました。CMという仕事にはそれがあると思ったのが、今に至る動機です。

岩阪
私は大学卒業後に個人の設計事務所で設計業務に携わり、その後、日建設計へ。バリューマネジメント業務を経験して、2008年にNCMに入りました。今も設計の延長のようなことをしていますが、大きなプロジェクトになると、すべてを自分で把握するのはなかなか難しい。いろいろな人の力を得ないとできません。それを統括する立場がCMという業種であって、とてもやりがいのある面白い仕事だと感じています。

杉浦
2003年に大学を卒業して、シドニーの設計事務所にインターンシップで1年間行っていました。そのときボスに連れられて80ヘクタールくらいのプロジェクトのマスタープランニングの打ち合わせに行きました。施主のもとに、僕ら設計者、エンジニア、シビルアーキテクト、そしてもう一人。後に「プロジェクト・マネジャー(PM)」という職種だと分かったのですが、そのような役割の人が立ち合っていたのです。僕は設計を目指してはいましたが、人と違うことをしたいと、それまで聞いたことのないこの職種に興味を持ちました。オーストラリアから帰って大学院、設計事務所を経て、2013年にNCMへ入りました。

伊藤
設計事務所をしていた父の影響で、大学では建築設計、監理を学びました。4年生のとき、CM協会に関わっていた先生のマネジメントについての講義を受けたことがきっかけで、入社しました。

角田
2009年の新卒採用での入社です。「どうしてこの会社に、なんでマネジメントを?」とよく聞かれますが、いまだにうまく答えられません。ただ、大学の設計の課題などで、好きなように作っていいと言われると違和感がありました。本当は誰かの依頼を受けて、それを叶えるための設計ではないだろうか、と。そう思って就活すると、先輩を通してNCMと出会いました。

梶本
2010年、NCMに新卒で入りました。大学の建築学科にいたときは、雑誌で見るような華やかな世界に憧れていました。ところが、これからは新規でどんどん建設していく時代ではない、既存ストックを活用する、「建築はこれからマネジメントの時代だ」と話す先生との出会いがありました。その後に「コンストラクション・マネジメント」という単語を知り、CM・FM志望となり、この会社に行き着きました。
大学時代から、現在も変わっていないのですが、既存の建物をうまく活かせていけたらいいと考えてきました。そういう仕事ができる会社だと思っています。

深く関われば、自ずと視野が広がる
CMにもそれぞれの得意技があっていい

清藤
梶本さんと角田さんは、たっぷり研修期間を経て実務に着いたところだと思うけど。

角田
合計すると4年半、設計や監理、コスト管理部門など、日建グループという専門家集団で研修を受けていましたので、実際にCMの仕事を始めてやっと1年です。

梶本
僕の場合はまだ研修後半年、先輩の背中を見ながら学ぶ毎日です。研修期間もなくて、いきなりマネジメントの仕事に飛び込んだ杉浦さんは、どうでしたか?

杉浦
前職でPMの部署に配置された時は、正直なところ、つまらなかった。頭の中はつねに「設計をしたい」でしたから、最初の2年間は、設計に戻りたいと毎日思っていました。それがどこかで変わって、楽しさを感じられるようになったんです。

角田
どんなことがきっかけで?

要はどこまで掘り下げていけるかということ。
なおかつできるだけ視野を広げることが、
CMに必要なスキルだと思っています。─[岩阪]

杉浦
ライフサイクル系の仕事が急増してきた2007-8年頃、僕はちょうどそういう仕事にかかりきりでした。社内にはノウハウがなかったので、半分独学でシステムを組み立てました。自分がノウハウを持っているという、そういう気持ちをいだいて初めてやりがいを感じたということでしょうか。
マネジメントというのは一つ一つの独自性が高い仕事ですから、それぞれのノウハウを握ったときの快感は大きいですね。

伊藤
得意技を一つでも身に着ければ、自信を持てるということですか。建築について実務経験が少なくてCMの仕事をすることは、私の場合、どのプロジェクトについても、まだまだ実感するのは難しさばかりです。

岩阪
そういうことが繰り返しあって、少しずつCMr(コンストラクション・マネジャー)としての自覚が生まれていくのでしょうね。思うに、CMという決まった分野はなく、あるときは設計者の目線で図面をチェックし、またあるときは発注者の目線で現場をチェックする。そのつどスイッチを切り替えて見方を変えていく。そのような一つ一つの業務の集合体がCMなのではないかと。要は、どこまで掘り下げていくことができるかなのです。面白いと感じたことは深掘りされていくでしょう。他の部分は広く浅くでもいい、できるだけ視野を広げるというのがCMの仕事には必要なスキルではないかと思います。

CMrとは「かかりつけのお医者さんみたいなもの」と、
若いときに先輩から言われて、
妙に納得していました。─[清藤]

清藤
クライアントから求められるのは、必ずしも私個人の得意分野でないこともあります。むしろそっちのほうが多いと思う。NCMのようにある一定のメンバーがいて、それぞれが得意技を持っている会社であれば、これは杉浦に聞いてみよう、これは角田なら知っているはずとなる。そういうチャンネルを持っていれば、どんな問いにも答えられます。CMrというのは「かかりつけのお医者さんみたいなもの」だと、若いときに先輩から言われて、妙に納得していました。

杉浦
たしかに、CMrは主治医だと思うな。

角田
かつ町医者です。フットワークは軽く、場合によっては専門病院を紹介できるとか。相談されたときにどう対応すべきか即座にジャッジできるようになっていたい。クライアントにとってそういうパートナーになれたらいいですね。

伊藤
大阪から東京や地方へよく出張しているのですが、私にもお客様から直接問い合わせが入ったりして、そういう場合は研修で出会った人脈が心強いです。

梶本
僕はまだ先輩について仕事を憶える段階ではありますが、一担当者としてちゃんとするようにというプレッシャーは常にあります。例えば、何かトラブルが起きた場合、僕の上司は、クライアントの立場で考えて、事故の内容、再発時にはどういう補償をするかまで施工者に書面で示すように指示します。先を読んで、クライアントが何を求めているかを把握して手を打たなければいけない。

杉浦
それ、「先を読む」は、CMのキーワードだね。

新築か改修か、クライアントとともに
多くの課題に向き合う
NCMならではの10年の成長

角田
これまでの10年を肌で感じてきたのは、清藤さんと岩阪さんですね。

清藤
二人とも創立当初からのメンバーではないけれど、NCM創立前から、日建設計の中にCM的な部門があって、だんだんニーズが高まってきたのでNCMという新しい会社として立ち上がることになった。そうした経緯は直に見てきました。
その後は社内外を問わず、各分野のエキスパート達が加わり、しばらくたつと新卒で若いメンバーを採用するようになった。大きな会社になろうとしたというより、仕事がだんだん増えてきて、それに対応する人が必要になったという感じです。

杉浦
仕事の領域を地道に広げてきたのでしょうね。それと、日建グループ全体に言えることですが、クライアントからすごく愛されていると感じます。一つ一つのサービスの質が高く、クライアントの信頼を得ているので、「次もよろしく頼むよ」という割合がけっこう多いです。

岩阪
ライフサイクル部門のプロジェクト数も、この10年でとても増えていますね。

杉浦
要するに「ゆりかごから墓場まで」ですから。建てることは一大事だが、「建ててからどうしたらいいのか」というクライアントがまだかなりおられます。その企業の戦略を理解したうえで、どのように継続的にサービスできるかが大事です。

伊藤
僕が担当するのは改修プロジェクトがほとんどですが、築30〜50年という建物をリニューアルする場合、設備的なスペースの確保ができていないケースに直面します。建てるときから何十年後かの改修のしやすさを考えた設計の重要性を改めて認識しています。

清藤
今ある建物をスクラップして、新しく長寿命の建物をつくるという選択だけでなく、少し手を入れるだけで今の時代にマッチした建物に美しく生まれ変わる可能性があるものについては、クライアントと相談してリニューアルの道を選択するというのもいい。環境負荷の軽減にもなるだろうしね。一方、新築の場合は、生命保険ではないけど何年後にどうなるかと、数字をいっしょに見ながら「手入れが必要な時期」などを考えられるようにしたいですね。

杉浦
ここ5年くらい、ますます改修して使い続けようという意識が高まっていると思います。実際、改修プロジェクトは増えていて、現在、40〜50件の保有ビルのCRE戦略立案を担当しています。どれから手をつけるべきか、売り上げに寄与しているビルからか、それとも…と。アセット・マネジメントというか、金融、不動産が絡む部分にまで取り組まなければならなくなって、ライフサイクル・マネジメントというのは、建築のことだけでは対応できない分野だと最近つくづく思います。

岩阪
結局、お客様にどれくらい寄り添い、その目線に立てるか、ということがとても重要です。とくに最近は環境問題が大きくなっているので、未来にどうつなげていくかを考えるべき分野だと思います。

何十年後かの改修のしやすさを
考えた設計の重要性を、
改めて認識しています。─[伊藤]

「“Vision2015”─その想いに、こたえる。」
が投げかけるアクションと、その実感

対談の様子

清藤
NCMは2013年から2015年に向けての中期計画「“Vision2015”─その想いに、こたえる。」を策定しています。当面の3年間でできるアクションプランと、10〜15年後を見据えてのこの提言を、どう受け止めていますか。

岩阪
なぜCMが必要で、業種として成り立っているのか。結局、クライアントの立場で誰よりもプロジェクトのことを考えている、ということを明確にするために「その想いに、こたえる。」があるのだと納得しました。
クライアントにとっていいものと設計者にとってのいいものが、イコールにならない場合もあります。費用的に採算がとれないような建物をつくってしまっては意味がない。これらのことを含めて、CMrがもっともクライアントの立場で考えている…いわばCMとは、クライアントの肩代わりができる、そういう職種なのだと思っています。

角田
お客様と向き合う、それよりもさらに近く、隣に座れるような存在になることですね。

清藤
そう、その近さが大事だね。

梶本
ただ、クライアントの担当者とは年齢差もあることが多く、なかなかコミュニケーションが難しいこともありますから、どうすべきか今でも模索段階です。

清藤
若い人は期待されるし、応援もしてもらえます。若さはぜったいに武器だよ。それでだんだん成長していく過程をクライントが見ていて、よし次も梶本さんにお願いしようとなるかもしれない。

角田
私は「その想いに、こたえる。」の一言が好きです。ただ最近思うのは、クライアントのwantを、そのまま実現するのがパートナーとしてのCMの仕事ではないということです。そのwantを叶えるとこうなってしまいますと、お客様が気付かないリスクをお伝えできれば、より信頼されるパートナーになれるのかなと。今の自分にはまだできないのですが、実務1年を経てすごく感じています。

杉浦
そうそう、大きな軌道修正をしたことがありました。工場の移転を計画しているクライアントが、移転先の候補として、まったく異なる業種の工場を買おうとされていたのです。だけど、製造するものが異なる工場だし、規模や設備のスペックも違うので使い物になりませんと話しました。新築で、それも今の工場がある場所に建てた場合のコストスタディもして、この方がよいと時間をかけて説明しました。結果的にそのプロジェクトは中断になって……ああやってしまったと思いましたけどね。でも結果的に、こちらが提案した方向で再開することができたので、感謝されました。実際に僕が向き合って話している相手、そのバックにはさらに多くの人がいる。僕らは、そのバックにいる人にまで話すことを考えながら説明しないといけない。

角田
それは、さっき梶本くんが言っていた「先を読む」大切さにもつながりますね。

クライアントが気付かないリスクまでも
お伝えできれば、より信頼される
パートナーになれるのだと感じています。─[角田]

清藤
特に事業全体のスケジュールを動かすようなインパクトのある提案の場合は、確かにパワーが必要です。一言が重い。それで結果がうまくいけばいいのですが、いかないケースもある。それでも、「いっしょに頑張ったけど、ちょっとうまくいかなかったね」とクライアントと話せる関係であれば、次のステップにはつながっているので、失敗だとは言えません。

清藤
今は皆全力疾走している状態なので「10年後は?」と問われても、困るでしょ。その意味で我々は、ふと立ち止まって考えることがない世代かもしれない。

CMrにはバランス感覚が重要
次世代が切り拓く方法がきっとある

岩阪
全力疾走かと問われたら、僕は「いいえ」と答えます。それくらい余力がほしいですね。

杉浦
実務経験が生み出すものかもしれないけれど、マネジメントの仕事は自分に5%の余力がないと良いものができませんね。20%くらい空いていると、今度は無駄な動きばかりしてよくない気がする。5%の余裕を持ちたい、最近つくづくそう思います。

角田
ところで毎年1回、学生と話す機会があります。時代が変わったのでしょうね「マネジメントなんて知らない」という雰囲気がありません。大学で学んでいますとか、マネジメントの研究室にいますとか。CMについても知っていて、すでに職業として学んでいるんです。

梶本
CMが学問として確立されようとしている段階だと思います。

杉浦
あと10年、15年たつと、CMを学んで入ってきた人達が会社の先頭に立っているのかもしれない。若手はみんなCMの教育を受けてきた人達になっているのかな。設計ベースでない人達が担っていくNCMになっているのかもしれません。

岩阪
だけどみんな、好きでCMをしているんじゃないのかな。楽しいからできるし、伸びる。
大学で学問として「広く浅く」と言ったら失礼かもしれないけど、全般的にCMを捉えて、それでどういうところを拠りどころにするんだろう。設計でも構造や設備があって、ものの見方はそれぞれの専門によって必然的に偏って見ていたりするものです。良いも悪いもありますが、それが軸になっている。

清藤
私や岩阪さんの育ち方からすると、なにか拠りどころとなるものがあって、そういう得意技みたいなものを自信に変えて全体を見ています。次世代の場合には、そういうものがなくても全体を見渡すことができるのだろうか。

角田
私達新卒組は、設計を10年やって来ましたというのではありません。実は未だに悩みとして自分の中にあります。軸というか自信を持てる基盤が見つかっていません。仕事をしながら自分の足場を、軸を見つけてゆくしかないですね。

梶本
僕は研修期間で設計部、監理部にいたときもずっと医療関係を担当していたので、なんとなくそこが軸になるかなと思い始めています。入社3年目、せっかく医療関係に携わる機会に恵まれてきたので大切にしていきたい。

はじめからCMに
取り組んできたことで、バランス感が
培われたのだと思っています。─[杉浦]

杉浦
CMというのはPQCS、つまりプロジェクト、クオリティ、コスト、スケジュールだと言われる。僕にはQに関するマネジメントができるような設計についての素養はまだそれほど多くはありません。それ以外の部分についてのバランス感覚は、そこそこあると思います。設計をしてきた人が誰でもマネジメントできる訳ではないのは、「バランス感覚が問題なのだ」と思っている。自分ははじめからCMに取り組んできたことで、このバランス感は培われたのだと思っています。Qの部分、全体的な厚みは今後の課題です。そういう意味では、僕はアドミニストレイティブなCMrだと解釈しています。それぞれの人材を調達して成り立つCMr、一人ではできません。
これは今後のNCMをどういう会社にしていくのかという課題でもあるのだと思います。今まではバックグラウンドを持つ人が、ある一定期間マネジメントの素養を付ければ、それで成り立った。でも今度は逆になる可能性があるので、組織としてどうCMとしての厚みを持たせるかが課題なのかなと思います。

清藤
Qの部分を会社全体でどう伸ばしていくのか。また、とんがったQを持っている人でも、それで全部をカバーできる訳ではないから、やはり全体的なバランスが課題です。
「人間力」も重要ですね。それを極めていく必要もあると思います。毎年、新卒の採用をしていますが、技術に関しては未経験だけれども、彼らに何を求めているのかと言えば、CMrにふさわしい「人間力」を求めているのかもしれない。新入社員に会うと、オーラというかエネルギーを感じるのはそのせいかもしれません。