『コンストラクション・マネジメント』とは?

【カンタン解説】

今注目を集める建築プロジェクト専門技術職!
『コンストラクション・マネジメント』とは?

私たちは、日建設計コンストラクション・マネジメントです!!
…と勢いよく名乗ってみたはいいものの、「コンストラクション・マネジメント(CM)」ってそもそも何か分かりづらいですよね。そこで今回は、オフィスや商業施設をはじめあらゆる建築プロジェクトを動かす「CMの仕事」について解説していきたいと思います!

1.[はじめに]建築ものづくりの構造と建築主のお困りごと

「CMとは何か」を知る前に、まずは建築プロジェクトの基礎となる、建築ものづくりの全体像について理解しておきましょう。

多くの業者が関わる建築の仕事

建物を建てる場合の中心となるのは建築主です。建築主は建物を建てるために、設計会社や建設会社に発注しますが、実際にはその設計会社や建設会社からさらに様々な企業が委託を受けています。

このように、実に多くのプロフェッショナルが関わるのが、建築プロジェクトの特徴です。

建築プロジェクトの成否に関わるのは「建築主」!?

例えば、あなたが建築主として新しくビルの建築を進めることになったとします。さて、何から手をつければよいでしょうか。予算や全体期間はどのくらいを考えておけばいいか、分かるでしょうか。設計会社や建設会社はどんなところが適しているのか判断できるでしょうか。仮に設計会社や建設会社を選定したとして、作成された図面や、見積もられた工事費について、それが本当に妥当なものかどうか、判断できるでしょうか。

こういった質問を投げかけられたとき、建築の専門的な知識を持っていなければ分からないと感じたのではないでしょうか。そうなのです。建築の専門的な知識がないと、建築の専門家である設計者や施工者と同じレベルでの協議、コミュニケーションができず、プロジェクトが意図しない方向に進んでしまうことがあります。そのほかにも、建築主は多額のお金を預かって建築を進める立場でもあり、プロジェクトの状況について関係者から説明を求められることもあります。このような背景もあり、建築プロジェクトの成否は「建築主」にかかっているといっても過言ではないのです。

2.「CM」の仕事の中身って

このように、専門性が高く難しいものでありながら、時代を追うごとに複雑化する建築プロジェクト。このような状況のなかで注目を集めているのが「コンストラクション・マネジメント」という職業です。

建築プロジェクトにおけるCMの立ち位置

建築主が意図する方向で物事が進むようマネジメント

建築主と設計会社・施工会社とのあいだの意思疎通や調整を支援し、設計内容の妥当性、見積金額の妥当性、工事の適切さを確認するなど、建築のプロフェッショナルとして建築主のパートナーとなってともにプロジェクトを推進していきます。

コンストラクション・マネジャー(CMr)は客観的な視点と建設に関わるあらゆる知識とノウハウを持った、あくまで中立な「第三者」としてプロジェクトに関わっています。

専門領域を持ったCMrによるチームプレー

CM業務は、様々な専門領域のプロフェッショナルがチームを組み、自らのスキルや経験値を活かして取り組んでいます。

様々な領域の専門性が求められる建築プロジェクトだからこそ、一人でできるものではなく、チームプレーが大事なのです。

建築プロジェクトの各段階でのCMの役割

それでは具体的に、各段階におけるCMの業務や役割について見ていきましょう。

  • 企画・構想

    建築主のニーズや事業の目的を整理して、用途・規模・立地・スケジュールなどを含む構想案を策定します。初期の予算感やリスクとなりうる要因を洗い出し、建物の方向性を決めるサポートを行います。

  • 基本計画

    敷地の調査や法規制をふまえたうえで、今回のプロジェクトや事業では何を達成するのか、そのために必要な作業は何か、その範囲や内容を定義し配置計画などの大枠を固めます。そして、概算コストやプロジェクトのスケジュールを策定するなど、建築主が判断するうえで必要となる資料を提供します。

  • 設計者選定

    設計者(建築・構造・設備など)の選定に向けた資料の準備から、設計者の提案の評価・交渉までサポートします。設計業務仕様を明確にし、中立な立場で最適な選択へと導きます。

  • 基本設計

    建築主の目指す建物を図面上で具体化させ、実施設計に進むための大枠を決める段階です。建物の機能・品質とコスト、建築主の予算とのあいだでバランスを取りながら、目標を達成するために最適な設計内容となるように調整します。

  • 実施設計

    基本設計をもとに、建設会社に発注できるように詳細を詰めていく段階です。建築主にとっての使い勝手や安全性、将来のメンテナンス性など、様々な視点で設計の内容を客観的にチェックします。

  • 施工者選定

    施工者の募集要件を設定し、入札や提案依頼をまとめます。提案を受けたあとは見積・技術提案の評価に至るまでサポートします。適切な施工者を選定することで、目標とする品質やコスト、工期を達成できる体制を構築します。

  • 施工

    工事開始後は現場の施工品質が適正か、工事監理は適切に行われているかを確認していきます。工事の進捗やコスト・工程の管理状況、設計変更などへの対応状況、各種検査・竣工手続きまで建築主の目線でチェックし、報告します。

  • 運用・維持管理

    建物完成後の運用段階になれば、維持保全・改修計画などを立案し、検討をサポートします。建物の資産価値を維持し、ライフサイクルコストを最適化するためのアドバイスも行います。

建築プロジェクトにCMrがいるメリット

CMrがいると具体的にどんなメリットがあるのかについても、さらに深く解説していきますね。

建設コストに係るリスクの低減

CM会社は常に様々な建築プロジェクトに携わっているため、市場の動向について最新の情報を把握しています。そのため、最新の情報を勘案した適正な予算への助言や設計会社や建設会社から提示される工事費に対する専門的な目での妥当性確認、さらにはコスト削減効果のある方策の提案が可能です。これらにより、建築主は建設コストに係るリスクを低減してプロジェクトを進められるようになります。

プロジェクトスケジュールの合理化

CMrのなかには設計分野から施工分野まで様々なプロフェッショナルがいることから、設計や施工にかかる期間の妥当性を検証し、場合によってはより合理的なスケジュールを提案できるケースがあります。また、日頃からスケジュールに係るリスク管理をしっかりと行うことで、トラブルなどによるスケジュールの遅延を極力抑えられるという効果も期待できます。

建物の適正品質を確保

建物はその用途に応じて求められる性能が異なりますが、CMrは、最新の性能基準を把握したうえで、建築主の要望や予算をふまえて、目指す性能のレベルを定義します。設計段階や施工段階では、それが実際に図面や現場の施工に現れているかどうかを客観的に確認し、目指すものの確かな実現に向けてサポートします。特に、建設コストに照らしたときに、建物の品質が適正であるかは非常に重要な着眼点であり、建築主にはなかなか判断が難しいところだと思います。品質とコストのバランスの取れた建物を実現させることができるのも、CM方式を採用することのメリットの一つです。

3.CMの仕事の醍醐味

設計会社は設計フェーズを、施工会社は施工のフェーズをそれぞれ担うのに対し、CM会社はプロジェクトの上流工程から下流工程まで、あらゆるフェーズにプロフェッショナルとして参画。一つとして同じプロジェクトはなく、必要とされる状況も異なるからこそ、その関わり方も多種多様です。

建築主の想いを汲み取り、プロジェクトの狙いを定める

まだ図面すらない、時には計画すらないほとんど「ゼロ」段階から、「どんな建物をつくるのか」をカタチにする役割を担います。建築主の想いを受けとめ、予算やスケジュール、立地条件といった現実と突き合わせながら最適な方向性を定める。新たな建物の「最初の一歩」をデザインする仕事です。

業界独自の慣習や用語を丁寧に翻訳し建築主とをつなぐ

建築プロジェクトは、専門用語や複雑なルールが飛び交う世界です。そこでCMrは「翻訳者」として、設計者や施工者の意図を建築主に正確に伝え、納得して判断できるように橋渡しをします。関わる全ての人の立場を理解し、第三者の視点からプロジェクトを中立的にまとめあげます。

あらゆるステークホルダーを動かしプロジェクト進行

設計者、行政、利用者、施工者と、建築プロジェクトに関わる人は実に多種多様です。その全員を動かし、利害関係を調整し、プロジェクトを前進させていきます。時には建築主と設計者・施工者のあいだで意見がぶつかったり、ボタンを掛け違ったりする場面も。それらもCMrがあいだに立ち、同じゴールへ向かって舵取りを行います。

世の中に求められる建物になるようマネジメント

建物は単に完成すればいいわけではありません。利用者にとって便利で安全であることはもちろん、カーボンニュートラルやSDGsの観点などもふまえながら、街や社会に価値を生み出すことが大切です。そのために機能性・コスト・環境性能などをマネジメントし、人々の生活に役立ち続ける「社会資産」づくりに貢献していきます。

技術領域をサポートし建物品質を向上

施工の品質管理や技術的な課題解決に関わりながら、図面通りの精度と性能を実現します。自分の判断やサポートが建物の完成度に左右するという責任感を持ちながら、建築主の目となり第三者として的確なサポートを行います。

最適なビル管理組織・体制を構築

建物は完成して終わりではなく、運用が始まってからが本当のスタートです。CMrは建物ごとに管理組織や運営体制をゼロから設計し、効率的かつ持続的な建物運用をしていきます。快適さや安全性を利用者に届ける仕組みを整えることで、建物の価値を長く守るのも、CMrの大切な仕事です。

数十年先を見据えた建物のアップデートも

建物は数十年単位で使われ続けるもの。だからこそCMrは長期的な視点から、改修やアップデートを提案します。最新技術や社会の変化にあわせて建物を進化させ、資産価値を守り続ける。未来を見据えて建物の寿命を延ばし、長きにわたり発注者と伴走していけるのも、この仕事ならではの醍醐味です。

4.CMの歴史とマーケット拡大

建築主の様々なお悩みにこたえるカタチで誕生したのが「コンストラクション・マネジメント」という職業。その歴史は1960年代まで遡ります。

  • アメリカで開発された「CM方式」

    建築プロジェクトが大規模化・複雑化し、工程遅延・予算超過などが発生。そこで発注者の代理人として、コスト・品質・スケジュール管理を行う職能として開発されました。

  • 日本でもCMに取り組む企業が出現

    組織的なCMの取り組みを行う企業が発生。企業の施設部門や施設に関わる関連会社が強い関心を示すようになりました。

  • CM方式が普及

    国土交通省が「CM方式研究会」を設置し「CM方式活用ガイドライン」を公表。 日本CM協会が発足し、CM資格者制度が始まりました。

  • CM需要と役割が拡大

    建設投資の増加と建築プロジェクトの大規模化・複雑化によりCMの需要が一層拡大。事業構想、基本計画から建設後の管理運営段階までのマネジメントなど、CMの役割も拡大しました。

  • 社会課題の対応でCMへの期待が高まる

    CM業界全体のマーケットが拡大。サステナビリティなどの社会課題への対応、先進テクノロジーを活用したCMが求められるようになりました。また、資材価格変動、人件費上昇、技術者不足などに伴う建築事業の不確実性を背景にCMへの期待が一層高まっています。

CM業界のマーケットは6年間で3倍にもなるなど、急成長を遂げています。全国で年間およそ2500件のCM案件が稼働しています。

5.NCMの実績

まとめとして、NCMのCM実績をプロジェクトへの参加の仕方を含めて見ていきましょう。

(最新のCM事業の代表例)

米沢市立病院・三友堂病院新病院建築プロジェクト
CM選奨2025優秀賞受賞

山形県米沢市の公立の米沢市立病院と民間の三友堂病院を、独立性を保ちつつ同一敷地内に隣接して合築するプロジェクトです。急性期医療と回復期医療に機能分担を整理したあと、一部の共有機能を外部事業者にて管理運営を行うという、全国的にも先進的な取り組みが行われています。日建設計コンストラクション・マネジメント(NCM)は、基本計画段階から工事段階までのコンストラクション・マネジメント(CM)業務を行いました。

(LCM事業の代表例)

フェニックス・シーガイア・リゾート 大規模リニューアル
CM選奨2018優秀賞受賞
ConsMa2019 5th Global CM Contest Award of Excellence受賞

「経営資源の選択と集中による施設の価値向上」を目的とした大小18ものプロジェクトを5年間で実行。発注者と、企画・コンセプト会社2社・基本設計社4社のあいだに立ち、段階的な改修から大規模新築までを一貫してマネジメントすることで、投資効果を最大化。結果として、施設稼働率の向上や顧客満足度の改善など、事業収益に直結する成果を実現しました。

(CRE事業を取り入れたCM事業の代表例)

真宗大谷派難波別院 新事業化計画
CM選奨2021受賞
ICPMA The 2021 Awards Distinction Alliance Award受賞

「南の御堂さん」、「御堂さんの屋根が見えるところで、鐘の聞こえる所で商売するのが夢である」と言われるほどに市民から親しまれ、御堂筋の名前の由来ともなった真宗大谷派難波別院南御堂(以下「難波別院」という)。400年以上の歴史を誇る難波別院の敷地の一部に定期借地方式により事業者が寺院山門一体型ホテルを建設し、難波別院がその一部の床を賃借して「参道・山門」の機能と「教化のための拠点」として利用するという、民間資金を活用した不動産有効活用プロジェクトです。

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いかがでしたか。今回はコンストラクション・マネジメントについて解説していきました。まさに建築プロジェクトそのものをマネジメントし、デザインするクリエイティブな仕事ですね!!!!採用サイト内では、実際に活躍するCMr職員たちのインタビューも掲載していますので、ぜひそちらも参考に、CMの仕事のイメージを膨らませてみてください!

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