3. 設計

設計フェーズは、企画・計画で整理した事業目的や要求条件をもとに、建物の形状・性能・仕様を具体的な図面として定めていく段階です。この過程では、意匠や機能の検討と並行して、コストやスケジュール、施工性、安全性、法令対応、将来の運用までを見据えた数多くの判断が求められます。

日建設計コンストラクション・マネジメント(NCM)は、設計者の創造性と専門性を尊重しながら、設計与件の的確な引き継ぎ、設計スケジュールの管理、設計内容や工事費のモニタリング、VE・CD検討、仮設・施工条件の先行整理等を通じて、設計内容と事業条件の整合を図ります。設計段階での判断が、その後の工事や運用に大きく影響するからこそ、NCMは中立的な立場から全体を俯瞰し、設計内容と事業条件の整合性を確認しながら、発注者が判断すべき論点や選択肢を整理し、納得して意思決定できる環境を整えます。

このページでは、設計フェーズにおける主な検討プロセスとともに、NCMがどのように設計内容を整理・調整し、発注者の判断を支えながらプロジェクトを次のフェーズへつないでいくかを紹介します。

3-1 設計与件の伝達・更新

設計フェーズの始動にあたり、まず重要となるのが、設計チームとの円滑な連携体制の構築と、的確な初期条件の共有です。NCMは、設計者選定までに整理してきた事業目的や運営要件、空間・性能条件、スケジュール、コスト制約等の情報を、背景や判断経緯とあわせて設計チームに丁寧に引き継ぎます。これにより、設計者は本質的な提案に集中でき、発注者の期待に沿った最適な設計プロセスが立ち上がります。

また、設計開始直後のタイミングでは、設計チームとの対話を通じて、今後の進め方や検討体制、コミュニケーションのルールを明確にすることも不可欠です。設計業務を着実に進めるうえでは、「誰が何を判断し、どの段階で意思決定を行うか」といった役割分担や判断プロセスをあらかじめ整理しておくことが重要です。例えば、設計案の確認や仕様決定の際に、関係者・関係部門にどのように確認して反映するか、社内決定のタイミング・フロー等、進め方のルールが曖昧なままだと、後戻りや混乱が生じるリスクがあります。

NCMは、発注者と設計者の間に立つ立場として、初期段階からの方針共有を促し、相互理解と信頼関係の構築を支援します。双方の立場や意図を適切に翻訳し、プロジェクト全体の目的から逸脱することなく、設計業務が滑らかに進行する基盤を整えます。こうした初期段階での丁寧な対話と調整こそが、後工程の質と安定性を大きく左右する出発点となります。

3-2 設計スケジュールの管理

設計段階は、建築の構想を具体的な図面に落とし込み、品質・コスト・スケジュールに関する判断を重ねていく重要なプロセスです。しかし、設計者の創造性と発注者の意思決定、さらには関係者間の調整が複雑に絡み合うこのフェーズでは、スケジュールの遅延や手戻りが発生することも少なくありません。

NCMは、基本設計・実施設計・概算・詳細見積・各種申請といった各プロセスを丁寧に分解・整理し、プロジェクトの特性や体制に応じた現実的なスケジュールを立案します。設計内容の検討順序や優先順位を明確にしたうえで、意思決定に必要な準備期間や社内合意のプロセス、行政協議や各種申請のタイミングも的確に織り込み、現実的かつ実行性の高いスケジュールを提案・管理します。

また、設計中には、設計変更や前提条件の見直し、関係者間の調整等、柔軟な対応が求められる場面が多くあります。NCMは、節目毎のレビューや定例会議等を通じて進捗を可視化し、関係者間での共通認識を形成。検討の偏りや意思決定の遅れを防ぎ、プロジェクト全体の整合性を保ちながらスムーズな進行を支援します。

設計スケジュールの的確なマネジメントは、その後の工事工程やコスト管理にも直結します。NCMは、「計画通りに設計が完了する」ことだけでなく、「事業の目的に沿った設計が、無理なく進められる状態をつくる」ことにも重きを置き、安定的なプロジェクト推進の基盤を築きます。

3-3 設計内容のモニタリング

設計フェーズでは、基本設計・実施設計・概算・詳細見積・各種申請・環境性能の検証・地域との調整等、多岐にわたる検討が並行して進みます。一方で、社内意思決定や行政協議、法的手続きといった制度的・手続き上の影響も受けやすく、状況の変化や認識のズレが、設計の停滞や手戻りにつながるリスクを常にはらんでいます。

こうした複雑な設計プロセスにおいて、NCMは発注者の立場を踏まえつつ、全体を俯瞰する中立的な視点で設計内容をモニタリングします。各検討領域の進捗状況に加えて、相互の整合性や優先順位、判断に必要な前提情報の有無等を常に確認・整理し、プロジェクト全体の目的からブレることなく、適切な判断と意思決定が行えるよう丁寧に支援します。

特に、定例会議や中間レビューでは、単なる進捗報告にとどまらず、「何をいつまでに判断すべきか」「そのために何が不足しているか」といった本質的な論点を明確にします。NCMは、発注者・設計者・関係者間の情報ギャップや認識のズレを翻訳・調整しながら、共通認識の形成を促進。議論が感覚や印象に流されることなく、事実と目的に基づいた冷静な意思決定ができるよう対話の場を課題や論点に沿って組み立てます。

また、設計中に発生する前提条件の変更や設計変更についても、影響範囲を的確に把握し、必要に応じてスケジュールやコスト、他要素への影響も踏まえたうえで、軌道修正を支援します。モニタリングにおいては、「正しいかどうか」だけでなく、「その判断が事業目的に沿っているか」「先のフェーズに悪影響をおよぼさないか」といった視点を重視し、設計全体の最適解を見極めていきます。

NCMは、こうした継続的なモニタリングを通じて、設計フェーズにおける迷いやブレを未然に防ぎ、工事フェーズや運用開始へのスムーズな接続を見据えた、安定的なプロジェクト推進の基盤を築きます。

3-4 設計レビューの実施

設計レビューは、図面や仕様のチェックにとどまらず、発注者の想いやプロジェクトの目的が設計に正しく反映されているかを多面的に確認・判断する重要なプロセスです。特に基本設計段階では、規模や面積配分、設備仕様、BCP、環境配慮、耐久性、将来の改修・更新性、ユーザー視点での使いやすさといった複合的な要素を丁寧に検討し、実施設計段階での手戻りやコスト増を未然に防ぐことが、全体の品質と円滑な推進に直結します。

NCMは、設計者が表現した技術的内容や空間構成の意図を的確に読み取り、発注者が判断しやすいカタチで整理・可視化します。設計の進行に伴い、要望とのズレや、仕様とコストのバランスが曖昧になることがあります。NCMはそのような局面においても、実現可能な代替案を示しながら、プロジェクトの本質に立ち返った判断ができるよう発注者を丁寧にサポートします。また、図面からは見えづらい将来運用のしやすさやメンテナンス性についても多角的に検証し、長期的視点での最適解をともに探ります。

このプロセスにおいては、発注者・設計者・関係者が協働し、前向きな議論を通じて最適な着地点を見出すことが不可欠です。NCMは、論点や懸念事項に加え、その背景や目的まで丁寧に共有し、対話の質を高めます。各者の視点の違いを橋渡しをしながら、共通認識の形成と質の高い意思決定を支援します。

設計レビューの継続的な積み重ねは、事業やプロジェクト全体の精度と信頼性を高める礎となります。NCMはこのプロセスを中心的な役割で、創造性と実現性が両立する設計の実現に貢献します。

3-5 工事費のモニタリング

設計が進むにつれ、図面や仕様が具体化し、工事費の精度も段階的に高まっていきます。一方で、仕様確定に伴うコスト増加や、物価・人件費の高騰、為替変動等、外的要因の影響により、当初の想定から大きく乖離するリスクも顕在化していきます。こうした中で、予算の枠内で事業を成立させるためには、設計段階からの戦略的かつ継続的なモニタリングが不可欠です。

NCMは、設計の節目毎に概算・詳細見積・数量算出結果等を精査し、設計内容と工事費の整合性を多角的に検証します。設計図面と仕様から導かれる数量根拠の妥当性、単価の水準や積算の前提条件、最新の市況との整合等を丁寧に確認し、潜在的なコストリスクや不確定要素も含めて可視化します。これにより、発注者が先を見据えた判断を下せるよう、情報の見える化と冷静な検討を支援します。

また、乖離やコスト超過の兆候が見られる場合には、VE(Value Engineering)やCD(Cost Down)の観点から代替案を整理し、コスト調整にとどまらず、空間・性能・品質とのバランスを踏まえた現実的な選択肢として提示します。
必要に応じて、調整のタイミングや社内調整の進め方も含めて、実行可能性の高い対応策を設計者とともに立案・検討します。

NCMは、常に発注者の立場で、「この仕様・内容に対してこの金額は妥当か」「将来の市況変動にどのように備えるべきか」「事業目的に照らして、合理的な判断ができているか」といった視点から問いを整理・共有します。これらを意思決定に必要な論点として構造的に明確化し、関係者間での建設的な議論と納得感のある判断を支援します。

工事費に関する判断は、一度の見積確認にとどまらず、設計・コスト双方の変化を見極めながら、先のフェーズも視野に入れて柔軟に対応していくことが求められます。NCMは、設計者とも連携しながら継続的に状況を把握し、冷静かつ根拠あるコストマネジメントで発注者を支援します。

3-6 設計段階におけるVE・CD検討支援

設計の進行に伴い、当初の予算と図面内容との間に乖離が生じることは少なくありません。そうした局面で求められるのが、VE(Value Engineering)やCD(Cost Down)によるコスト最適化の検討です。VE・CDは単なるコスト削減ではなく、設計品質や機能性、意匠、運用面まで含めて総合的な最適解を探るプロセスであり、事業目的の達成やプロジェクト全体の最適化を損なわないための高度な判断が求められます。

NCMは、VE・CDの検討において、発注者の意図やプロジェクトの目標を踏まえながら、仕様や計画の見直しに関する論点を整理します。仕様変更や設計見直しだけでなく、施工手順、工法、将来的な拡張性、維持管理コストといった観点も含めて、各案の妥当性や合理性を多角的に評価。コストを起点としつつも、発注者の目的や空間性、使い勝手、将来の運用への影響まで見据え、発注者が現実的に選択できる形で整理・提示します。

また、VE・CDは発注者・設計者・施工者の三者で合意形成を図るプロセスでもあります。NCMは、各案のメリットや留意点、コスト影響を丁寧に整理・可視化し、発注者が納得感をもって意思決定できる環境を整えます。短期的な金額に囚われず、長期的な事業の成否や建物の価値、ライフサイクルコストに目を向けながら、柔軟かつ戦略的な検討を促します。

NCMは、VE・CDの局面でも発注者の判断を支え、事業目的と設計の整合を確保しつつ、実行可能性の高い計画となるよう推進します。

3-7 仮設計画の検討、工事施工スケジュール案の作成

設計段階では、建物の設計に加えて、「どのように工事を進めるか」という施工計画をあらかじめ見通すことが極めて重要です。都市部のように建物が密集し道路が狭い敷地や、稼働中の施設の近接工事、急傾斜の敷地等、複雑な条件下では、施工工程そのものがプロジェクト全体に与える影響が非常に大きくなります。仮設計画や工事スケジュール案の検討は、品質・コスト・工期・安全性を高いレベルで両立させることが求められます。

NCMは、企画・計画段階から敷地条件や近隣状況、運用との並行条件等を把握し、仮囲いや搬入経路、クレーンの設置位置、工区分け等を含めた仮設計画を段階的に検討します。設計と並行して、将来の工事が安全かつ効率的に進められるように整えることで、現場での手戻りや混乱のリスクを未然に防ぎます。設計内容と仮設条件の整合を図ることで、工事中の調整負荷も軽減できます。

また、施工性や工事中の安全性といった図面だけでは判断しきれない観点を補完し、将来的なコスト増やスケジュール遅延のリスクにも目を配ります。さらに、工程短縮による早期運用開始の可能性や、近隣住民や周辺施設への影響を最小限に抑える工夫、運用後の動線計画との整合等、事業全体の最適化につながる提案も行います。

設計フェーズの段階から、実行段階までを見通した視点を持ち、計画と実施の断絶を防ぐことが、プロジェクトの安定的な推進には不可欠です。NCMは、設計と施工をつなぐマネジメントを通じて、実現性の高い計画づくりを支援します。

設計で確定した内容をもとに、発注準備が始まります。発注フェーズでは、入札・見積・契約を通じて、工事開始に向けた確実な体制づくりを進めます。

※本ページで紹介しているマネジメント手法は、NCMのCMrが日々実践している業務内容の一部です。

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