新築プロジェクトをどのように始めればいいか分からない
新たに建物を建てたい――。
でも、「何から始めればいいのか分からない」という声も少なくありません。
新築プロジェクトには、土地選びから設計・施工まで、数多くの検討と判断が伴います。
このページでは、初めての方にも分かりやすく、その進め方の基本を整理しています。
01 なぜその建物を建てるのか
新築プロジェクトを始める際、最初に考えるべきことは「どんな建物を建てるか」だけではありません。
本当に大切なのは、「なぜ、その建物が必要なのか」という目的を見つめ直すことです。
例えば…
・ 今の施設が手狭になってきた
・ 拠点を統合・移転したい
・ 生産能力を高めたい
・ 働き方や事業の変化に対応したい
・ 環境負荷の少ない設備に刷新したい
こうした目的はそれぞれ異なりますが、共通しているのは、その背景に「どのように変わりたいか」という想いがあるということです。
この想いを明確にしないまま進めてしまうと、計画の途中で迷いが生じたり、完成後に「本当にこれでよかったのか…」という悩みが残ることもあります。
また、目的が曖昧なまま進行すると、
・ 設計のやり直しが増える
・ 社内調整が難航する
・ 予算やスケジュールが膨らむ
といったリスクにつながる可能性もあります。
そして、竣工がゴールでありません。
さらに大切なのは、建物は「完成して終わり」ではないということです。
竣工後、その建物がどのような価値を生み出し、どんな未来を支えていくのか――
その視点こそが、新築プロジェクトの成功を左右します。
まず目的を明確にすることで、
検討を進める際の指針や手がかり、軸となり、納得感を持って前に進めるプロジェクトになります。
02 一般的な建築プロジェクトの流れ ―― 全体を把握する
新築プロジェクトは、設計や施工の前からすでに始まっています。
最初の検討から建物の完成・引き渡しまでには、いくつもの段階をへて計画が進行します。
ここでは、建築初心者の方にもプロジェクト全体像をつかんでいただけるよう、主なステップを時系列でご紹介します。
1) 建築プロジェクトの主な流れ(7つのステップ)
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 企画・計画 | 「なぜ建てるのか」「どのような建物が必要なのか」といった目的や背景を明確にし、敷地、スケジュール、予算、将来の使い方等を検討します。計画の方向性を整理する大切な準備段階です。 |
| 2. 基本設計 | 建物の規模、配置、構造、空間の使い方等を検討し、全体の設計方針を定めます。設計者がイメージを具体化し、関係者と内容をすり合わせながら基本的な構成を決めていきます。建物のデザイン等もこの段階から具体的に検討します。 |
| 3. 実施設計 | 基本設計をもとに、施工ができるよう詳細な図面や仕様書を作成します。並行して、将来の維持管理や設備の使い方も考慮した仕様の調整を行います。 |
| 4. 発注・契約 | 実施設計図書にもとに施工会社から見積を取り、技術力・実績・金額等を比較して施工会社を選びます。条件がまとまったら工事契約を締結します。 |
| 5. 工事 | 工事が始まります。施工状況の確認や検査、途中で発生する変更・調整に対応しながら工事を進めます。発注者としても、確認や判断が必要な場面が多くあります。 |
| 6. 完成・引き渡し | 建物が完成し、設計者や発注者による検査や、行政や検査機関による検査を経て、建物が引き渡されます。不動産登記や各種手続きもこのタイミングで行います。 |
| 7. 運用開始 | 建物の利用が始まります。利用者が使いやすいように運用体制を整え、維持管理の準備も進めていきます。 建物の本当の価値は、ここから生まれていきます。 |
2)最初から関係者が多く関わる
新築プロジェクトでは、企画段階から社内外の関係者(経営層、利用者、設計者、関係業者等)との調整が必要です。
それぞれの立場で異なる期待や判断基準があり、承認の流れも異なります。早い段階で全体の流れを把握しておくことが、意見のすれ違いや判断の迷いを防ぐうえでも有効です。
3)まだ何も決まっていない段階こそ、大切な準備期間
「敷地が決まっていない」「予算がまだ固まっていない」等、初期段階は不確定なことが多くて当然です。
それでも、あらかじめ全体の進め方を知っておくことで、関係者に計画の意義や方向性を共有しやすくなり、社内での合意形成や説明準備にもつながります。
次は、進めていくにあたり、
「設計が2段階に分かれているのはなぜ?」
「設計者と施工者を分けて選ぶとは?」
そうした素朴な疑問について、次の章で詳しく解説します。
03 基本設計と実施設計とは? ―― 2段階に分かれている理由と進め方
建築プロジェクトの「設計」は、1回で完成するものではありません。
通常、「基本設計」と「実施設計」という2段階に分けて、段階的に内容を深めていきます。
「最初から細かく決めればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、プロジェクト初期は要望も予算もまだ固まっていないことが多く、段階を分けて進めることで、変更に対応しやすく、無理のない進め方で建物の質を高めていけるのです。
1) 基本設計とは?
建物の「骨格」や「全体の方向性」を決めるステップです。
建物の規模、配置、構造、各フロアの使い方、外観、敷地内の動線等を大づかみに設計します。
この段階では、まだ細かい仕様や仕上げ材等は決め切らなくても大丈夫ですが、建物の全体像やコスト・スケジュールに影響する要素を、関係者間で共有することが重要です。
〈例〉
・ 建物の階数、面積、配置(ゾーニング)
・ 空間構成(どこに何の部屋を置くか)
・ 駐車場・搬入スペースの考え方(敷地内の全体計画)
・ 概算工事費
この段階では、細かい設備の仕様や仕上げ材等は未確定でも構いませんが、建物や敷地内等の基本的なことを決定するため、基本設計の段階での決定事項は、コストやスケジュールに大きく影響します。
関係者の共通認識をつくり、概算工事費を把握しやすくするためにも大切な工程です。
2) 実施設計とは?
基本設計で決めた内容をもとに、実際に工事を発注・施工できる詳細な図面や仕様書をつくる段階です。
設備の細かな仕様や配管のルート、仕上げ材の選定、建物機能の納まりまでを具体的に設計し、施工会社が見積・工事を正確に進められる状態に仕上げます。
〈例〉
・ 仕上げ材(床、壁、天井等)の種類・品番
・ 設備機器(空調、給排水、電気、セキュリティ等)の詳細
・ 配線・配管のルート、寸法、工法の指定
・ 法的要件への対応(建築基準法、消防法、避難、バリアフリー等)
この段階の設計が不十分だと、工事段階での変更や追加工事が発生しやすく、コストやスケジュールのブレにつながるリスクも高まります。
3) なぜ設計を「基本設計」と「実施設計」の2段階に分けるのか?
建築プロジェクトは、企画段階では「まだ分からないこと」や「今後決めていくこと」が多くあります。
企画段階から設計段階に進み、いきなり詳細を決めるのではなく、まずは全体像をつくり、それをもとに詳細化していくという進め方の方が、より幅広く、たくさんの選択肢を検討でき、社内調整や合意形成もスムーズに行えます。
2段階に分ける主なメリット
・ 最初に大まかな枠組みをつくることで要望や予算に合わせた見直しがしやすい
・ 計画内容を段階的に関係者と共有・調整できる
・ 設計内容とコストの整合を確認しながら進められる
・ 実施設計の精度が上がり、施工会社の見積や工事がスムーズになる
・ 完成後の使いやすさやメンテナンス性、将来の改修等も事前に配慮できる
このように、基本設計と実施設計は役割が異なる「連続した2つのプロセス」です。
設計段階の検討を、全体像を考えてから詳細化していくことで、無理なく・納得感を持って建築を実現するための段取りなのです。
04 設計と施工、どう依頼する? ―― 3つの進め方とその選び方
新築プロジェクトでは、設計や施工を「誰に、どのように依頼するか」が、計画全体の流れや最終成果に大きく影響します。
しかし、建築経験が少ない発注者にとって、発注方式の違いや、それぞれの向き・不向きを判断するのは難しいものです。
NCMでは、発注者の立場で、それぞれの方式の特性や注意点を整理したうえで、プロジェクトに最適な進め方を一緒に検討し、判断をサポートします。
大切なのは、「どれが正解か」ではなく、「このプロジェクトに合った進め方はどれか?」です。
1) 発注方法は3つの代表的な発注方式があります。
| 発注方式 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 設計・施工分離方式 | 設計者と施工者を別の会社に依頼。設計の自由度が高く、設計者と施工者によるチェック機能が働きやすい | デザイン性を重視したい、価格競争による発注を行いたい場合 |
| 設計施工一括(デザインビルド方式) | 設計から施工までを一社に一括で依頼。工程やコスト管理に強み | 工期・コストを重視したい、発注・調整の手間を減らしたい場合 |
| コンストラクション・マネジメント方式(CM方式) | 発注者のパートナーとしてコンストラクション・マネジャー(CMr)が発注者をサポートしながら設計・施工をマネジメント | 社内に専門知識が少ない、条件や調整が複雑なプロジェクト向き |
2) それぞれの方式にメリット・注意点
1. 設計・施工分離方式
・ 設計会社と施工会社を別々に契約。設計の自由度が高く、工事品質の監理もしやすい方式です。
・ 施工会社選定では複数社から見積を取ることができ、コストの比較・検証がしやすいのが利点です。
・ 一方で、設計と施工の間で認識のずれが生じた場合、調整や確認の負担が大きくなることがあります。
2. 設計施工一括方式(デザインビルド:DB方式)
・ 設計から施工までを一括して1社に依頼する方式。調整の手間が少なく、工程・コストの把握がしやすいという利点があります。
・ ただし、設計と施工を同一会社に依頼するため、発注者自身が設計内容を適切に判断・チェックする姿勢も重要です。意図しない仕様変更が起こらないよう、設計内容の精査 と合意形成が求められます。
3. CM方式(コンストラクション・マネジメント方式、CM=Construction Management)
・ 設計者や施工者とは別に中立的な立場の専門家「コンストラクション・マネジャー(CMr)」が、発注者の代理としてプロジェクト全体を統括・支援します。
・ 設計・コスト・施工・工程の全てに目を配りながら、最適な選択肢を提示し、発注者の判断をサポートします。
・ 特に、社内に建築の専門知識がない場合や、複数部署やステークホルダーの調整が必要なときに、難易度の高いプロジェクト等で高い効果を発揮します。
・ CMrの経験・力量によって支援の質は異なるため、信頼できるパートナー選びが重要です。
3) 「合う方式」はプロジェクトによって異なる
どの方式にも一長一短があります。
建築の目的やスケジュール、社内体制や意思決定のスタイル等に応じて、「自社にとって一番納得できる進め方はどれか」を整理することが大切です。
「どの方式が良いのか判断がつかない…」という場合も、最初から完璧に決めきる必要はありません。
次章では、進め方の実例も踏まえながら、実績やノウハウの見極め方について紹介していきます。
05 建物の用途や目的に合った実績があるか ―― 依頼先選びの視点
建築プロジェクトは「誰に依頼するか」が大きく関わります。
その際に重視されることが多いのは、建てようとしている建物と近い「用途」や「目的」の実績があるかどうかです。
1) 同じ「オフィスビル」でも、求められるものは違う
例えば同じ「オフィスビル」でも、企業の置かれた状況や戦略によって、求められる建物の性格は大きく異なります。
・ 組織再編でフロアの自由度を重視したい
・ 働き方改革に合わせて共創スペースを強化したい
・ ZEBや環境認証の取得を目指したい
・ 賃貸としても事業展開可能なオフィスビルにしたい
こうした目的に合った提案が適切にできるかどうかは、依頼先の実績と経験の蓄積に左右されます。
2) 施設の「使い方」を理解した支援者を選ぶ
図面を描いたり、工事を行ったり、優れた技術力はもちろん重要ですが、それだけでなく、その建物が「どのように使われるか」を理解してくれるかも重要です。
・ 教育施設の場合は、学校の運営や生徒・学生の動線を考慮して計画できるか
・ 医療・研究施設の場合は、法規や機器の設置条件を踏まえた設計・調整ができるか
・ 工場の場合は、生産ラインや設備更新のタイミングに合わせて建築側が柔軟に対応できるか
プロジェクトの背景や目的に寄りそえるパートナーかどうか、単なる実績数ではなく「中身」を見て検討することが大切です。
3) 公開実績や事例資料を参考にする
依頼先を検討する際には、企業のホームページやパンフレット、事例集等を参考に、「用途別」「目的別」「課題別」等の切り口で実績を確認するのがお勧めです。
また、気になる事例があれば、具体的にどういう支援をしたのかを質問してみるのも有効です。
相手の強みや姿勢を具体的に知ることができます。
06 新築プロジェクトは、一歩ずつ着実に
新築プロジェクトを進めるには、多くの検討事項と判断が伴います。
どんな未来を実現したいのか、そのためにどんな建物が必要なのか――
目的を明確にすることが、全ての出発点になります。
そして、「何から始めればいいか分からない」と感じるときこそ、
焦らず、信頼できるパートナーに相談しながら、段階的に進めていくことが大切です。
お勧めの第一歩
・ 自社にとっての「建てる理由」を言葉にしてみる
・ 社内の声やニーズを集めてみる
・ どのような進め方があるのかを比較してみる
・ 過去の実績や事例を調べてみる
こうした準備が、社内の合意形成やスムーズな進行につながります。
もし、「まだ決まっていないこと」が多くても大丈夫です。
「土地が未定」「社内の意見がまとまっていない」「予算が曖昧」――
そうした状態でも、最初の段階からご相談いただくことで、しっかりと建物を建てる目的が整理できてスムーズなスタートが切れるケースが数多くあります。
このページをきっかけに、プロジェクトの第一歩を踏み出していただけたら幸いです。
初期段階でも、「少し話を聞いてみたい」と感じた時が動き出しのチャンスです。
ぜひお気軽にご相談ください。
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