コンストラクション・マネジメント業務とは? 内容や導入効果を解説

share

オフィスや商業施設、宿泊施設、病院、研究所、工場といった様々な用途の建設プロジェクトで採用されている「コンストラクション・マネジメント(CM)」。導入に興味はあるけれど、実際にどのようなサポートが得られるのか、どんな効果が期待できるのか今ひとつわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、コンストラクション・マネジメントの業務内容や導入の効果について、詳しく解説していきます。

そもそもコンストラクション・マネジメント(CM)とは

建設プロジェクトを進めていく過程では、「コストが膨らみ当初の予算よりも増えてしまいそう」「施設の稼働時期が決まっているのに間に合うのか不安」「社内の関連部署との合意形成がうまくいかない」など、さまざまな悩みを抱えてしまうことがあります。

こうした問題を、発注者側(企業側)に立って支援するのが「コンストラクション・マネジメント」です。このシステムを導入することによって、これまで発注者側が全て対応しなくてはいけなかった設計や工事業者とのやりとりや、社内の関連部署との調整などの複雑な業務を、コンストラクション・マネジャー(CMr)と呼ばれる建設のプロの技術的な補完を受けながら、進めていくことができます。

コンストラクション・マネジメントはもともとアメリカで誕生したシステムで、日本では2000年代になって本格的に導入が検討されるようになりました。現代では、民間事業だけでなく地方自治体の公共事業においても、広く採用されています。

コンストラクション・マネジメント業務の範囲

コンストラクション・マネジメントの業務範囲は、建設プロジェクトの全てのフェーズをサポートするのが一般的です。具体的には、「企画」「計画」「設計」「発注・契約」「工事」といった5つのフェーズにおいて、プロジェクトの価値を最大化するための支援を行います。発注者側は、建設プロジェクトのうちどのフェーズからでもコンストラクション・マネジメントを導入できますが、より高い効果を得るためにはできるだけ早い段階から導入するのが理想的です。

また、コンストラクション・マネジメント会社によっては、竣工後のビルマネジメント会社の選定支援や建物管理方針の検討といった運用をサポートする場合もあります。

コンストラクション・マネジャー(CMr)の業務内容

では、実際にコンストラクション・マネジメントを導入した場合、それぞれのフェーズでコンストラクション・マネジャーはどのような働きをするのでしょうか。コンストラクション・マネジャーの具体的な業務内容は以下の通りです。

企画フェーズ

この段階では、プロジェクトの企画や構想支援をはじめ、プロジェクトの実現可能性の判断、全体の流れがわかるマスタースケジュールの検討、予算配分(コストアロケーション)などのサポートを行います。

計画フェーズ

企画フェーズで決定した事柄に基づき、プロジェクトの目標や要求条件の設定支援、制約条件の整理をはじめ、具体的なプラニングやマスタースケジュールの設定をサポートします。その上で、事業費や工事費概算の算出支援や、設計に向けての条件をまとめた設計与件書の作成、設計者の選定支援などを行います。

設計フェーズ

プロジェクトが設計フェーズに移ると、コンストラクション・マネジャーは設計与件の伝達・更新、設計スケジュールの管理、設計内容や工事費のモニタリング、工事施工スケジュール案の作成などの支援を行います。

発注・契約フェーズ

このフェーズでは、設計プロジェクトの成功に大きく影響する設計者や施工者の選定を支援します。発注戦略の策定からはじまり、設計者・施工者の選定方式の策定、候補者の確認・評価、業者側から出された見積内容の確認、各契約の締結支援などを行います。

工事フェーズ

実際に工事が始まる段階になると、工事運営に関わる各種調整や助言、工事スケジュールや工事品質の管理、各種検査代行や立会いといった業務を行います。

運用フェーズ

運用フェーズでは、竣工後の建物管理方針の検討、マネジメント会社の選定支援、テナントリーシング支援、移転・引越しに関する支援などを行います。

コンストラクション・マネジメント(CM)方式の導入効果

建設プロジェクトのさまざまな段階で、技術的なサポートを行うコンストラクション・マネジメント(CM)方式。導入することによって、発注者(企業側)は各フェーズにおいて適切なアドバイスや支援を受けることができるため、設計者や施工者、専門会社と対等な立場でプロジェクトを進めることができます。

また、コンストラクション・マネジャーが設計会社から提出される図面や見積書を細部まで確認し、必要に応じて修正指示を出すことで、コストや工期の最適化や品質の確保といった効果を獲得しながら、発注者側が求める施設性能や機能を満たすことが可能です。

建設プロジェクトを立ち上げる際には、コンストラクション・マネジメント(CM)の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
コンストラクション・マネジメントを導入する際には、日建設計コンストラクション・マネジメント(NCM)にぜひご相談ください。

share