ハイウィン神戸本社・工場建設プロジェクト HIWIN Kobe Head Office and Factory Construction Project

台湾に本社を置き、リニアガイドウェイなど直動機器の生産を軸に世界をリードするHIWIN（ハイウィン）。世界12カ国に拠点を構えるグローバル企業が、日本国内での生産能力の増強を目指し、神戸市西区の神戸サイエンスパークに研究開発機能を備えた本社工場を建設するプロジェクトです。日建設計コンストラクション・マネジメント（NCM）は、日本での工事発注経験のない発注者に土地取得から引渡後のアフターフォローまで、プロジェクト全体を包括的にマネジメントしました。

プロジェクトの各段階における契約は、発注者である台湾本社と日本法人それぞれの承認が必要となるため、NCMは、土地の譲渡契約、設計・施工契約など、国内外で理解の相違が生じる可能性がある事項を漏れなく抽出し、プロジェクトリスク検討や契約内容に反映しました。また、海外企業ではプロジェクトを進めながら事業検討を行うことが一般的であることを踏まえ、台湾本社での経営判断に要する時間を考慮したスケジュール管理とプロジェクト推進を行いました。
設計施工者の選定のための図書となる基本計画のとりまとめにおいては、台湾本社と台湾設計者が作成した基本計画案を基に、日本の建築基準法や消防法などに適合させるための計画内容への助言およびコストダウン提案を実施しました。

設計施工者の選定においては、台湾では設計施工分離発注方式が一般的であるため、日本で採用されている多様な発注方式について丁寧に説明を行いました。発注者の多くの提案を受けたいという意向、要求仕様の実現、プロジェクトスケジュールなどの条件を総合的に勘案し、設計者・施工一括方式を採用、提案型見積競争プロポーザルを開催し、発注者が納得できる設計・施工者選定に貢献しました。設計段階では、設計変更の採否の確認や助言、コスト増減のモニタリングを実施しました。工事段階においても、設計変更の確認やコスト増減のモニタリングを継続することで、追加工事費を発生させることなくプロジェクトを運営しました。

NCMは、台湾と日本の文化慣習等の違いによる様々な課題や、コロナ禍の影響などによる度重なる危機を乗り越え、発注者が設定していたプロジェクトミッションの完遂に貢献しました。

（Photo：伸和）