コンストラクション・マネジメント(CM方式)の活用事例を紹介

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建設プロジェクトにおけるさまざまなお悩みを解決しプロジェクトを成功へ導くための方法として、民間から公共事業まで、さまざまな建設プロジェクトで広く進んでいる「コンストラクション・マネジメント(CM)方式」。日本では2000年ごろから次第に注目されるようになってきましたが、実際にどのような場面で活用されているのでしょうか。
今回は、コンストラクション・マネジメント(CM)の概要とその種類、そして実際の活用事例について詳しく解説します。

コンストラクション・マネジメント(CM)とは

オフィス、商業施設、学校や医療施設、工場の建設や建替といった大規模な建設プロジェクトにおいて生じる、コストや品質、工期の問題、組織内での合意形成といった体制の課題を解決し、プロジェクトを成功に導く「コンストラクション・マネジメント(CM)」。

近年では、地方自治体の公共事業において導入する事例が増えるなど、その効果が高く評価されている建設生産のマネジメント手法で、国土交通省の「CM方式活用ガイドライン」ではこれを、「技術的中立性を保ちながら、発注者の側に立って設計・発注・施工の各段階において、各種のマネジメント業務の全部または一部を行うもの」と定義しています。

そして、このコンストラクション・マネジメント業務を実際に行うのが、建築の専門的知識を持つコンストラクション・マネジャー(CMr)と呼ばれる専門家で、設計内容のモニタリングや、工程管理、品質管理、コスト管理といった発注者に対し支援を行ないます。

コンストラクション・マネジメントにおけるコンストラクション・マネジャーの役割は、発注者の立場に立つパートナーとして発注者側の様々な利益を守るための支援をすることです。必要に応じて設計者や施工者に対してコストや工事内容の改善を提案しなくてはいけない場面もあるため、コンストラクション・マネジャーは原則として設計者や施工者から独立した第3者の立場であることが求められます。

2つに分類されるコンストラクション・マネジメント(CM)方式

専門性の高いコンストラクション・マネジャーによって、発注者が建設プロジェクトにおける技術的な補完を受けることができる「コンストラクション・マネジメント(CM)方式」には、いくつかのバリエーションが存在しますが、大きくは以下の2つの方式に分類されています。

ピュアCM

「ピュアCM」におけるコンストラクション・マネジャーの役割は、発注者側の立場で技術的な中立性を保ちながら、設計アドバイスや、工事発注方式の検討、工程やコストの管理などの各種マネジメント業務を行うことです。コンストラクション・マネジャーはあくまで発注者のアシストを行う立場であるため、最終的な判断については、発注者が責任を負うことになります。

アットリスクCM

一方、「アットリスクCM」のコンストラクション・マネジャーは、マネジメント業務だけでなく工事に関する事業者との契約を担い、その工事の責任を負うのが特徴です。ピュアCMにおけるコンストラクション・マネジャーよりリスク配分が大きくなる分、コンストラクション・マネジメントを採用する際の対価も割高になりますが、発注者側は工事に関する責任をコンストラクション・マネジャーに一任することができるため、建設プロジェクトを進める上での負担を大幅に軽減することができます。現在NCMで受託する業務は、ピュアCMとなっています。

コンストラクション・マネジメントの活用事例

では、次に実際に日建設計コンストラクション・マネジメント(NCM)が、コンストラクション・マネジメントを行った活用事例を具体的に見ていきましょう。

新市庁舎建設再建プロジェクト

2003年に更埴市、戸倉町、上山田町が合併して誕生した長野県千曲市。旧更埴体育館を含む一帯の敷地に新庁舎を建設し体育館を再建したプロジェクトです。
庁舎・体育館建設の他、既存施設解体・立体駐車場建設・地中熱利用設備設置等の多くのプロジェクトが同時進行する複雑な状況において、コンストラクション・マネジャーが検討事項を明確化し、スケジュールを総合管理することで事業を牽引しました。

参考リンク

PROJECT

千曲市庁舎・ことぶきアリーナ千曲

リゾートホテル大規模リニューアル

地上44階、地下2階、730以上の客室数と大小20以上のさまざまな施設を併設したリゾートホテルにおいて、コンストラクション・マネジメントを採用することによって、複数のプロジェクトを同時進行しながら、5年以上にわたる長期的な大規模リニューアルを成功させました。

参考リンク

PROJECT

フェニックス・シーガイア・リゾート 大規模リニューアル

コンストラクション・マネジメント方式は、コンストラクション・マネジャーを事業主の支援・代行者として参画させることにより、従来よりも少ない負担で効率的に建設プロジェクトを進行することができます。施設建設の進め方にお悩みの場合は、ぜひコンストラクション・マネジメントを導入してみてはいかがでしょうか。
なお、コンストラクション・マネジメントのメリットについて更に詳しく知りたいという方は、「コンストラクション・マネジメント(CM)方式のメリット」も併せてご覧ください。

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