オフィスビルの維持・保全、改修|目的や内容について

建物を良好な状態で使用していくためには、計画的な修繕が必要です。建物は時間の経過や使用状況によって物理的な劣化や社会的な劣化が発生します。例えば、空調や電気設備、トイレなど、劣化により性能や快適性が低下することがあります。また時代の変化とともに社会のニーズにあった用途・空間づくりが求められます。上記のような物理的劣化・社会的劣化は賃料や資産価値に影響します。そこで今回はオフィスビルを例に、オフィスビルの維持・保全、改修についてご説明いたします。

維持・保全とは

維持・保全の主な目的は、計画的な保全工事によって、建物が持つ性能や機能を維持することです。
・資産価値の劣化・減損を防ぐ(美観・意匠性の維持)
・ライフラインの質の維持・改善(付随設備の品質維持)
・経年劣化による事故や不具合を防ぐ(タイル等の剥落事故、漏水など)
・災害への耐久性能の確保(地震、水害等による被災損失の最小化)

時間の経過によって発生する物理的な劣化や、すでに発生している異常などの要因を検討し、計画的な保全工事を実施することで、設備機器の故障や停止、事故、二次災害などの建物の機能不全を未然に防ぎます。上記への対応が不動産価値の維持・向上へ結び付きます。計画的な維持・保全を進めていくために、中長期保全計画の作成を推奨します。
(コラム:建物の資産価値の維持・向上を図る『中長期保全計画』について
また保全工事と合わせて、バリューアップ改修、省エネルギー改修もまとめて計画することで費用や工事期間の合理化を図ることも可能です。

不動産価値の向上につながる改修

建物の機能や利便性の向上を図る改修や流行を取り込む改修によって、資産価値の向上やテナントの空室化を防ぐケースも見られます。日建設計コンストラクション・マネジメントが手掛けた事例をご紹介いたします。

テナントニーズに柔軟に対応できる空間づくり:空室率低下に貢献

中規模オフィス向けに会議室等の個室区画が事前に設置された専有部を提供することにより、入居テナントの費用負担低減を実現。また他のテナントと共同で使用できる機能をオーナー側で用意することにより、テナントは専有部の改変をせずに、新しい働き方に対応可能に貢献しました。
・会議室付きの専有部を提供する仕組みづくり
・共用部に入居テナントが使用可能なWEB会議・少人数会議ブースを設置
  

天井材の耐震化:地震時に天井材の落下の防止

近年の大規模な地震では天井材が落下してケガや企業活動の継続や再開に影響を及ぼす被害が発生しています。天井材の耐震化を行い、地震時に天井材の落下を防止することによってお客さまが安心して利用できる執務空間に貢献しました。

BCP対応:公共のインフラに被害があった場合の備え

お客さまが地震などの自然災害後に業務継続や一時待機できるように備えることで入居テナントの安心感や信頼度の向上に貢献しました。
・照明設備やサーバー室など電源を確保するために非常用発電設備や太陽光発電設備の設置
・飲料水を確保するために耐震性の貯水槽の設置
・災害後もトイレ利用ができるよう雑用水槽や排水槽の設置
・洪水や津波などの発生時にも安定して電力が共有可能なように非常用発電をハザードマップの想定最大規模よりも高い位置に設置

環境負荷の低減:企業の環境への取り組み、地球環境への配慮

環境に配慮した建物とすることで、入居テナントの企業イメージの向上に貢献しました。
・エネルギー消費を減らせるよう、人感センサー付きLED照明器具に更新や、節水機器や自動水栓の導入、省エネ型の空調設備へ更新
・再生エネルギーの活用および停電時に非常用電源としても活用可能な太陽光発電設備の設置
・目にも環境にも優しい屋上緑化や壁面緑化の設置
・二酸化炭素の排出量の削減に貢献するEV自動車やPHV自動車用の充電設備の設置

長期にわたって良好に建物を使用するためには、維持・保全を計画的に進めていきましょう。また建物・不動産の資産価値を向上させるためには時代の変化に合わせて改修工事の検討も大切です。各種ご相談は日建設計コンストラクション・マネジメントまでお気軽にご相談ください。

share