自社ビルを所有するメリット・デメリット

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会社が成長してその規模が大きくなってくると、自社ビルの所有を検討することがあります。自社ビルを所有するメリットは資産としての価値だけでなく、建物のハード面(建物・設備)から得られるメリットも考慮して自社ビルの所有を検討する企業も存在します。
そこで今回は、自社ビルを所有するメリットとデメリットについて、詳しく解説していきます。

自社ビルとは

自社ビルとは、企業が自ら所有し、オフィスなどで使用しているビルのことで、企業が所有や購入した土地に新しく建てる場合や、中古のビルを購入する場合があります。

自社ビルを所有するメリット

自社ビルの所有にはさまざまなメリットがありますが、自社ビルの所有と賃貸オフィスと比較した場合、次のようなメリットとデメリットがあげられます。

メリット

①長期的にはコストが抑えられる
②賃料の値上げ交渉がない
③建物利用やオフィス内のレイアウト・内装・設備などに契約上の制約がない
④不動産担保の取得
⑤環境配慮活動の取り組みを見える化し、ステークホルダーに情報発信できる
⑥自然災害時などにおける重要業務の継続対策(BCP対策)

デメリット

①初期投資費用が大きい
②計画的な借入金返済が必要
③自社ビルの建設や購入までに時間と労力を要する
④移転がしにくい
⑤建物の維持管理に手間がかかる

これらのメリット・デメリットの影響は企業の業種や規模などによって異なります。
当社の事例を基に一例をご紹介します。

環境配慮活動の取り組みを見える化し、ステークホルダーに情報発信できる(メリット⑤)

保有する不動産や建物の環境認証の取得は、お客さまの環境配慮活動の見える化につながり、ステークホルダー(投資家、クライアント、社員、テナントなど)に企業価値を示す指標の一つとして情報発信できます。
環境認証の審査項目は建物のハード面(建築・設備)が多く、建物と敷地全体で取り組む必要があります。環境認証の種類には、建築物の環境総合性能評価するCASBEE(キャスビー)や、建物と敷地利用における環境性能評価するLEED(リード)、新築・既存の建築物における省エネルギー性能を第三者評価機関が評価し認定するBELS(ベルス)などがあります。環境認証の取得に際しては、企業のESGの取り組み方針や不動産の特性だけでなく、取得に係る予算も考慮して検討することが大切です。

自然災害時などにおける重要業務の継続対策(BCP対策)(メリット⑥)

建物の災害リスクを検討し、被害を受けた場合でも重要業務が中断しないよう、または中断した場合には早期に復旧できるよう対策を行うことは大切です。大地震を想定した場合のハード面(建物・設備等)の対策では、地震時の揺れを低減することができる「免震構造」の採用や、地震時に天井材の落下によるケガや企業活動の継続や再開に影響を及ぼさないように「天井の耐震化」をすることで地震による被害の低減だけでなく、お客さまが安心して利用できる執務空間になります。また地震直後に電力供給が一時的に止まることを想定して、照明設備やサーバー室など重要設備の電源を確保できるよう「蓄電池」や「発電機」を洪水や津波のハザードマップの想定最大規模よりも高い位置に設置します。
余震が続く場合などに帰宅困難者が安全に避難できる避難スペースの確保や、トイレが利用できるよう雑用水槽や排水槽の設置なども、ハード面(建物・設備など)で行えるBCP対策の一つです。

自社ビルの建設や購入までに時間や労力を要する(デメリット②)

自社ビルを新しく建設する場合、規模や用途、仕様、工事条件によって異なりますが、検討開始から建物が完成するまでに2年以上の時間を要することは珍しくありません。自社ビルの建設は、初期投資費用が大きいため金融機関と資金の相談や、お客さまのニーズや要求事項をCMr・設計者・施工者と共有して一緒に自社ビルを検討します。
既存のビルを購入する場合は、お客さまのニーズや要求事項に基づいてオフィスを探します。また自社ビルを建設する場合と購入する場合の両方において、お客様の自社ビルに対するニーズや要求事項を社内外のプロジェクト関係者と十分共有することが大切です。これは、十分に共有することでプロジェクト関係者がお客さまの自社ビルの実現に向けて一丸となって取り組むことができるためです。

ここでご紹介したメリットとデメリットが、お客さまにとってメリットになるのかどうかを、しっかり見極めることが大切です。
自社ビルを所有するメリットとデメリットを正しく理解したうえで、お客さまにとって最適な方法を選択していきましょう。また建物や不動産に関連するプロジェクトを検討の際には、ぜひコンストラクション・マネジメント方式の導入を検討してみてはいかがでしょうか。コンストラクション・マネジメントはプロジェクトの初期段階で採用するほどその効果は大きくなります。「コンストラクション・マネジメント(CM)方式のメリット」の記事も併せてご覧ください。
各種ご相談は日建設計コンストラクション・マネジメントまでお気軽にご相談ください。

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