建設業のSDGsの取り組みを知ろう! 重要性やメリットなど

近年、環境への配慮や社会貢献などの考え方が浸透し、企業経営においてもSDGs(持続可能な開発目標)を重視する気運が高まっています。これに伴い、建設業界でもSDGsに向けた取り組みが急速に進んでいます。
今回のコラムでは、SDGsと建設業の取り組みについて解説します。SDGsとは何か、建設業の企業がSDGsに取り組む重要性や、どのように取り組んでいるのかを見ていきましょう。

SDGsと建設業について

SDGsが国際的に注目されている背景や、建設業界がSDGsの取り組む重要性についてご紹介します。

SDGsとは

SDGsとは、「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」のことで、2015年に国連サミットで採択された2030年までの国際目標のことです。これは、地球規模の課題に取り組むための17の目標と169のターゲットから構成されています。地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓って、目標として具体的には

  1. あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
    例:2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
  2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
    例:2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料が十分得られるようにする。
  3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
    例:2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を10万人当たり70人未満に削減する。

などを掲げています。
SDGsに関連する取り組みは、社会的な要請の高まりだけでなく、企業の事業や成長にも関連する問題として扱われることがあります。

建設業におけるSDGs

建設・建築業界は、環境・社会・経済などの側面で社会全体に大きな影響を与えるため、SDGsの達成に向けた取り組みを積極的に行うことが求められています。また建設・建築業界においても、社会からの要請や企業の社会貢献などからSDGsへの取り組みをより重要視する企業が増えています。
また世界では、UIA(国際建築家連合)とデンマーク王立美術アカデミーとデンマーク建築家協会によって、『SDGs 建築ガイド』が刊行されました。また『SDGs建築ガイド第2号』の日本語版が日本建築家協会のホームページで公開されています。

参考:SDGs建築ガイド第2号の和訳版を公開 公益社団法人 日本建築家協会

 

建設業におけるSDGsに取り組むメリット

SDGsが企業の成長と社会貢献にどのように役立つのか、そしてSDGsと資金調達の機会についてご紹介します。

新しいビジネス機会の創出やニーズの獲得につながる

SDGsの取り組みが社会的に重要な課題になるほど、エネルギー、環境、健康などの多くの課題解決に貢献する製品やサービスのニーズが増加します。そのため、SDGsに取り組む企業は、課題解決を通じて新しいビジネスチャンスや市場の開拓の機会を得ることができます。

企業イメージや企業価値の向上

SDGsへの取り組みは、環境問題から人権問題、平和や安心・安全な社会の実現など、社会全体に大きな影響を及ぼします。それらへの取り組みは、企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)や社会貢献を示し、企業イメージの向上やブランド価値の向上につながります。

ESG投資などによる資金調達の機会が得られる

企業のSDGsへの取り組みが投資の審査要件になりつつあります。SDGsへの取り組みを通じて、企業の事業資金を獲得する機会を得られます。環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の観点からの「ESG投資」や、企業や地方自治体が国内外のグリーンプロジェクトに必要な資金調達のために発行する債券の「グリーンボンド」などがあります。

 

建設業のSDGs取り組み例

建設業界がSDGsの各目標の達成に向けてどのような取り組みを行っているのか、再生可能エネルギーの導入から持続可能な都市計画まで、多角的な視点でご紹介します。

再生可能エネルギーや新エネルギーへの取り組み
(SDGs目標7:エネルギーをみんなに。そしてクリーンに)

  1. 再生可能エネルギーについては、太陽光発電や風力発電の導入促進・拡大に向けて低コスト化や競争力強化等に向けた研究・技術開発、エネルギー効率の改善に取り組んでいます。
  2. 新エネルギーについては、水素エネルギーやバイオマスエネルギー*の導入や利用促進に向けて取り組んでいます。
    *・・・畜産バイオマス、木質バイオマスなど

持続可能な街・都市・コミュニティへの取り組み
(SDGs目標11:住み続けられるまちづくりを)

  1. 持続可能な街や都市づくりでは、自然災害に備えた街・都市・建物づくりの促進や、自然災害発生後に被害を低減させる取り組み(減災)、早期復旧や支援などの対応力の向上を目指した取り組みなどを行っています。
  2. 人々の生活や産業を支える基盤となるインフラ整備では、道路・上下水道・電力のライフラインの安定供給や維持保全、公園や公共施設など社会資本の長寿命化や老朽化対策などに取り組んでいます。

持続可能な消費と生産の促進に関する取り組み
(SDGs目標12:つくる責任、つかう責任)

  1. 建設工事で多く使用するコンクリートについて、コンクリートの製造過程で発生する二酸化炭素(CO2)を吸収・固定し、CO2の発生を抑える環境配慮型のコンクリートの研究・開発に取り組んでいます。
  2. 建設工事で発生した建設汚泥(けんせつおでい、泥状の廃棄物)を道路の舗装などで使用する路盤材や透水性ブロックなどへの再利用に取り組んでいます。
  3. 産業廃棄物となったコンクリートについて、再生骨材や路盤材などへの再利用への研究や利用促進に取り組んでいます。

気候変動に関する持続可能な都市開発やエネルギー効率の高い建物への取り組み
(SDGs目標13:気候変動への具体的な対策)

  1. 持続可能な都市開発については、公共交通機関の整備や歩行者・自転車の利便性の向上やグリーンインフラの推進を行っています。これらの取り組みを通じて排出ガスの低減、都市の緑化促進などによる気候変動への対策などに取り組んでいます。
  2. エネルギー効率の高い建物については、大幅な省エネルギーの実現と再生可能エネルギーを利用することで、建物で消費する年間の一次エネルギー収支をゼロにする「ZEB(ゼブ、Net Zero Energy Building ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」に取り組んでいます。

これらは建設業界のSDGsに貢献する一例であり、各企業や建設・不動産プロジェクトによってSDGsへの取り組み内容は異なる場合があります。

 

建設業界における取り組みは、幅広い分野に渡って影響するため、持続可能性への取り組みを通じて社会や環境への影響を最小限に抑えることが共通の目標とされています。
未来の社会をより良いものにするため、一緒に取り組んでいきましょう。

SDGsやESGに関するプロジェクトを成功に導くために、日建設計コンストラクション・マネジメント(NCM)は、建設・不動産関連プロジェクトの全てのアクションにESG(環境・社会・ガバナンス)の思想を取り入れる戦略コンサルティングサービス「つなぐESG®」を提供しています。導入を検討してみてはいかがでしょうか。
お客様の建設・不動産プロジェクトの企画段階から運用段階までトータルサポートを行います。その効果は、初期段階で採用するほどより大きくなるでしょう。
その他、建物・不動産に関する各種ご相談は、日建設計コンストラクション・マネジメントまでお気軽にご相談ください。

share