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水素エネルギーシステムのトップエンジニア山根史之氏による社内講演会を開催しました

当社は、2023年12月21日(木)に水素エネルギーに関する社内講演会を大阪オフィス「O3(オースリー):Osaka Osekkai Office」をメイン会場にオンラインを併用し開催しました。本講演会では、水素エネルギーシステムのトップエンジニアである東芝エネルギーシステムズの山根史之氏を講師に迎え、「水素を取り巻く状況と、福島水素エネルギー研究フィールドについて」をテーマに講演いただきました。

当社は、山根氏が携わられた世界最大級(※2020年3月稼働開始時点)の水素製造装置を備えた「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」の建設プロジェクトにおいて、2017年からコンストラクション・マネジメント(CM)業務を担当しプロジェクトを支援しました。現在世界的に加速する脱炭素化に伴い、水素をはじめとする次世代エネルギー関連施設の建設プロジェクトが増加し、また建物の建築における脱炭素の取組みとしての水素活用も研究されています。このような状況のもと建設を主としたトータルマネジメント業務を行う当社では、水素エネルギーへの知見を高めるため、山根氏に講演いただくこととなりました。

講演会では、「日本における水素戦略と現状について」をテーマに、水素の分類にはじまり、日本と世界の水素戦略や、関連する要素技術、そして水素の活用先など、水素を取り巻く国内外の状況、その背景や実際について講演いただきました。

まず、水素の分類には、欧州でグレー、ブルー、グリーンと色分けで分類される一方で、日本や米国ではブルーとグリーンを含むクリーン水素という定義があり、さらに最近主流の炭素排出量をあらわす炭素強度もあるなど、定義が混在していることが語られました。そして、重要なポイントとして「水素を使えばCO2がゼロになるわけではない」ということに留意が必要だということ、もう一つのポイントとして、CO2排出量の数値のカウントの定義について、製造までのWell to Gateから、そこから運び利用するまでのWell to Tankや、Well to Wheelもあり、数値がどの定義を使っているか留意すべきといったことがあげられました。

また、日本のエネルギー戦略との関連について、社会全体でカーボンニュートラルを実現することを目指すエネルギー基本計画の中での水素の位置づけ、水素分野に関する国の方針において今後いつまでにどの程度の導入量が目標とされているのかが解説されました。
日本と世界の水素戦略では、改定された日本の水素基本戦略と、欧州や米国などの世界の水素政策を交え、今後の国のロードマップについての解説に続き、日本の水素サプライチェーンの状況等を語られました。そのうえで、水素やアンモニアの利用先として、化学産業や鉄鋼業、自動車産業や運輸、住宅・建築物など具体的な事例をあげて各分野のロードマップについて解説されました。

続いて、「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」について、プロジェクトの概要と22年度までの研究開発内容や実証試験の結果、23年度以降(第3世代)について説明いただきました。
説明の中で、FH2Rが「電力系統への調整力」と「水素製造」の2つの価値(収入)を1つの「Power to Gas」システムで実現し、低コストの水素製造を実現することを目指しつくられ、そのプロジェクトを進める中でどのようなことに苦労したかなどが語られました。

また、FH2Rで行われている水素の製造・貯蔵から輸送までを含む水素エネルギーシステムの実証試験の概要とそこで使われる技術、そして、22年度までの試験結果とその活用先や効果について解説され、最後に23年度以降の第3世代での方針と実現するための要素技術について解説いただきました。

講演後に行われた当社社員とのQAセッションでは、山根氏に加え、FH2Rのプロジェクトを担当した当社マネジメント・コンサルティング部門の竹部正幸と大城直也がパネリストとして登壇し、山根氏へFH2Rのプロジェクトを率いた中での挑戦や、困難な課題をどのようにして乗り越えたのか、今世界的に進んでいるカーボンニュートラルにおける日本の立ち位置などを質問し回答いただきました。さらに、講演会に参加した当社社員からの多くの質問にも一つひとつ丁寧でわかりやすく回答いただき、大変有意義な会となりました。

| 講演者プロフィール

東芝エネルギーシステムズ株式会社エネルギーアグリゲーション事業部 
水素エネルギー技術部フェロー 山根史之氏

<略歴>
1995年4月~
(株)東芝半導体研究開発センターに入社。
低消費電力回路、メディアプロセッサ、先端メモリ、モバイルネットワークLSI、マルチコアプロセッサの研究開発に従事。
2009年4月~
電力・社会システム技術開発センターにて、車載用電池管理システム、電気自動車制御システム、都市交通システムの研究開発に従事。
2015年4月~
水素エネルギー事業統括部にて、水素エネルギーシステムの開発、福島水素エネルギー研究フィールド等のプロジェクトマネジメントを担当し、現在に至る。

写真中央 東芝エネルギーシステムズ株式会社 山根史之氏
写真右 日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社 竹部正幸
写真左 日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社 大城直也

※掲載内容は2023年12月21日時点のものです。

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