なぜ今コンストラクション・マネジメント(CM)は注目されているのか?
―第7回学生対象企画パネルディスカッション―

日建設計コンストラクション・マネジメント(NCM)では2015年から毎年、大学生や大学院生を対象に、コンストラクション・マネジメント(CM)とは何かを知って頂くイベント「学生対象企画」を開催してきました。2020年から新型コロナウイルス対策としてオンライン形式(Zoom)で開催、昨年に引き続きオンラインで「第7回学生対象企画~注目度急上昇中!コンストラクション・マネジメントの魅力とは?!」を開催し、多くの学生の皆さんに参加頂きました。
今回は、「第7回学生対象企画」で実施した、パネルディスカッション「なぜ今CMは注目されているのか?」「CMってどんな仕事なのか」において、NCMの若手社員が語り合った模様をご紹介します。

なぜ今CMは注目されているのか?

杉浦智也(以下杉浦)
今日は実際現場で活躍しているコンストラクション・マネジャー(CMr)の先輩たちに集まって頂きました。まず最初に「なぜ今CMは注目されているのか?」について聞いていきたいと思います。
では、CM業務経験がありキャリア入社されている堀江さん、ご自身がCMの仕事をやりはじめてから現在まででその注目度は上がってきていると感じますか?

堀江愛子(以下堀江)
ようやくCMの波がきたぞって感じです(笑)。今日参加している皆さんも、わからないことがあれば専門の人に話を聞き、アドバイスをもらいますよね?例えば保険とか、色々お話を聞いて決めますよね。
建物を建てたいと思っている人が専門の人に話を聞きに行き、いろいろ相談や助言をもらい、最終的には満足する建物を建て、喜んでもらえるようなサポートをするのが私たちの仕事です。表に出る仕事ではないですし、縁の下の力持ち的な要素が大きなウエイトを占めている職業ですが、みなさん「いてくれるとすごく助かる!」とわかってきたのだと思います。

忠快仁(以下忠)
確かに、最初はクライアントも「CMってどんなことをしてくれるんだろう?」という思いがあったのだと思います。ここ10年でCMの価値を感じてもらえたんじゃないかと僕も感じますね。
私たちCMrは建築や設計の知識もあるので発注者側も、どの建物にどの設計者・施工者が関わるのがいいのかといった根本的なところから一緒に考えて提案できるので、発注者の立場としてはとても心強いと思いますよ。

杉浦
そういった要素がじわじわと浸透してきて、今、大注目を浴びているのでしょうね。


CMの価値を感じてもらっているのだと思います。

杉浦
CMの業務をやりはじめてちょうど2年目の上田さんはどうですか?なぜ注目されていると思いますか?

上田滉己(以下上田)
ハード面はもちろん、ソフト面に対してもしっかりカバーしていることも注目されるひとつなんじゃないかと感じますね。莫大なお金と時間を使って建物を建てることは誰でもできるかもしれませんが、お金とスケジュールをしっかり守り、コストを抑えることは大事なことですし、CM業の腕の見せ所ですね(笑)。

杉浦
次に、今年CMデビューした田中さんには「なぜ?CMが注目されているか」ではなく「なぜ、CMを注目したのか?」という視点で答えてもらいたいと思います。

田中翔子(以下田中)
私は関わる人たちをマネジメントしてプロジェクトを成功に導くというCMの業務が、「人のためになにかしたい」と漠然と考えていた自分に合っているのではいかと思ったのがきっかけです。自分の強みを活かせる職業だと思いましたし、なにより楽しく働きたいと思ってCMを目指して就職活動をはじめました。


楽しんで働けるっていうのは大事ですね。

CMとは実際どんなことをするのか?

杉浦
ここから少し具体的にCMの業務や皆さんのお仕事内容について聞いていきたいと思います。


簡単に言えば私たちCMrは、建築と設計の知識を持ち、発注者の意向をくみ取りつつ、設計者・施工者との専門的な話を分かりやすく発注者に伝え交渉し、設計者・施工者との折衝もやり、スケジュールやコスト管理もやっていく、という感じですね。

杉浦
そうやって聞くと簡単に聞こえますが、この「建築と設計の知識を持つ」や「発注者の意向をくみとる」、「交渉、折衝」、「スケジュールやコスト管理」をやるってすごく大変ですよね(笑)。

上田
そうですね。説明だけ聞くと20秒ぐらいで終わっちゃいますけど、そこにたどり着くのは、大変ですよね。実際、僕は現場に出て2年が経ちますが、やはり一緒にお仕事しているゼネコンの方などは何年も何十年も先輩の方が多いので、最初は委縮してしまいます。


誰もが若いときには経験することですよね(笑)。

上田
そうですね。圧倒的に経験値が違うので、そういう人たちと一緒に仕事をする上では、とにかく謙虚であることと、勉強をするようにしています。事前に想定質問を考えて、答えを下調べしておくとか、わかないことは正直にわからないので後日回答をさせて頂きます、と伝える勇気も大事ですよね。誠意と謙虚であることはとても大事だと考えています。


チームの中で立場が違う者同士が一緒に働いていて、そこをうまく調整するのが私たちだと思えば、そこを理解すれば乗り越えられると思いますよ。

田中
今、ちょうどその壁に当たっています(笑)。この前お客さまから相談があると連絡あり、その時に「田中さんは建築の専門家ですよね?」と言われて、お客さんにとっては唯一建築について相談できるパートナーと思っていただき頼っていただいているっていう意味ではすごく責任感を感じた瞬間でした。

杉浦
すごく大変そうで、覚えることもやることも多くて忙しい仕事のように思われますが、実際1日のスケジュールはどんな感じですか?子育て真っただ中の忠さんはどうでしょう?


コロナの影響もありますが、弊社は在宅勤務が可能なのでそこはとても助かっています。
朝は9時の始業時間までに子供の朝支度や見送りをして、そこから仕事に入ります。夕方は17時30分ぐらいにいったん仕事を終え、お迎えや夕食、お風呂など子供たちと一緒に過ごします。子供が寝たあとの21時以降に仕事が残っているようであればやり、あとは自分の時間として使う感じですね。在宅4:外出・現場4:オフィス2といった感じです。
フル稼働しているように感じるかもしれませんが、子供にとってはお父さんが近くにいるっていうのは楽しいみたいですし、一緒にご飯を食べてお風呂に入って、というのは僕自身も子供の日々の成長だったり、ちょっとした変化にも気づけたりしてとても楽しく思っています。

杉浦
会議や、現場に行く機会も多いと思うけれど、うまくやりくりできてますか?


そうですね。スケジュールはきちんとプロジェクトメンバー間で共有していますし、予定も立てやすいです。なし崩しにスケジュールが崩れていく、ということは基本的にありませんね。

杉浦
さて、ここで今日参加頂いている学生の皆さんからの質問に答えていきたいと思います。「御社が関わることで建築物に与えらえる価値はなんですか?」という質問がきています。なかなかいい質問ですね。


深い質問ですね。設計者側は建築の話のわかる人が発注者側にいるというのはプロジェクトを円滑に進めていく上でもすごく心強いと思いますし、建物の価値を向上させていくことにも貢献していけると思います。

上田
私たちは設計者ではないので、自分が描いた図面のように目に見えるものではないコストやスケジュールについて、クライアント、設計者、施工者などとの折衝をしていくことが目に見えない付加価値になっているのではないかと思います。

杉浦
そうですよね。私たちCMの仕事は可視化できないけれど、「いてくれてよかった」と言ってもらえる仕事ですね。
これからも、より多くのお客さまに頼って頂けるように頑張っていきましょう。皆さん、ありがとうございました。

※掲載内容は2021年12月時点のものです。

関連リンク

|RECRUIT

新卒採用情報

新卒採用情報を掲載しています。ご覧ください

|NEWS

第7回 学生対象企画を開催しました

イベント開催について掲載しています。ご覧ください