一人ひとりが自立したスーパースター
Home Stadiumに込められた意味

コンセプトからみんなで一緒につくり上げていく

設計チームが動き出したのは、まだコンセプトがはっきり形になっていなかった時期で、デザインしながらコンセプトも一緒につくり上げていったプロジェクトでした。日建設計コンストラクション・マネジメント(NCM)から「いきたくなるオフィス」というお題を受けて、デザインコンセプトが「Home Stadium―いきたくなるオフィスー」に決定しました。スタジアムになぞらえて空間づくりをしていこうとなった時「じゃあこの空間はどうする?」「こっちの空間をどうする?」と、落とし込む作業を一つひとつ丁寧にやっていきましたね。
ですので、このプロジェクトは普通のオフィス改修の設計に比べるとコンセプトメイクから非常に丁寧に時間をかけていた印象です。この「Home Stadium―いきたくなるオフィスー」にはタグラインがありそれが「一人ひとりが、自立した“スーパースター”です。」なんですが、我々から見たNCMのみなさんはまさにそういう印象で、一人ひとりが際立っているように感じました。チーム主体でプロジェクトを回していくというスタイルに対してNCMは「個」が光っているな、と。まるでスーパースターみたいだと。
その発想のもと、サッカー的なアナロジー(類推)としてStadiumという言葉につなげていき設計・デザインをしました。

実際、執務エリア内にある中央のスペースは「ピッチエリア」という名前で呼んでいます。真剣勝負する場所ということで「マッチアップする」感覚を空間づくりにどのように反映していけばいいのか?そういう議論を初期段階から積み重ねてきました。
例えば、一番奥に大きなモニターを囲んでミーティングをするエリアがあるんですが、それをサッカーのゴールに見立て、ゴール前のような緊張感がある、そういう展開ができる空間づくりにしようよ、となったんです。
デザインコンセプトとして「Home Stadium」という軸があり、その中でNCMならではの働き方だったり、今の時代、これからの時代に合わせた働き方というところを起点に設計を考えました。
 

一つの空間としてお互い「見られる」関係になっている

一番特徴的なのは、お客様をお迎えするゲストエリアとその奥の従業員が仕事をする執務エリアが、一つのセキュリティゲートを挟み連続し繋がりある空間になっていることです。一つの空間として成り立っていて、それがお互い「見られる」関係になっているところが、他のオフィスにないポイントとして挙げられると思います。
NCMがこれから展開していくワークスタイル変革事業をはじめとするビジネス提案の中で、「見る・見られる」の関係になっていた方が、お客様と話がしやすいと思います。働き方そのものもビジネスの提案になるんだ、していくんだ、という考えの中で、結果的に大阪オフィスはこのような空間構成になっていきました。

大阪オフィスのゲストエリアをパブリックなスペースだと思って入って来ちゃう人がいるという話を聞きました。当初の狙いからするとうれしい話です。そうやって自然に入って来られて、かつおもてなしの雰囲気がちゃんと表現できる空間を作りたかった。それらを一つの空間にすることに注力したので、それが上手く実現できたんじゃないかなと思います。間違って入ってくる人がいるぐらいですからね。笑

ゲストエリアを入ってすぐの大きなカウンターもさまざまな動線の中でのハブになっていくということで、お客様をもてなすゲストエリアというレセプション空間における大きな目玉になる部分です。例えばコーヒーなど飲食が提供される場としての象徴的な大きなカウンターがそこにあるということは、従業員やゲストにとって大事なポイントかなと思っています。
 

馴染みながらカタチを変えていく

大阪オフィスがオープンしてから、今まさに従業員のみなさんがじわじわ馴染んでいっている段階だと思うんですよね。この段階で、おそらくそれぞれのオフィスの使い方にフィットするしないみたいな話もいろいろ出てくるのではないでしょうか。そういうものをしっかり吸い上げていき、場合によっては一部修正をしたり、方向転換してやり方を変えていくことも出てくると思います。そういうことも含め柔軟に対応できるオフィスになるといいなと。運用面も含めたオフィスづくりが大事だと考えています。
どういう働き方の設計にどれぐらいの面積を割り当てるのがNCMにとって適切なのか、というところも慎重にチューニングを一緒にしてきました。オフィスが馴染んでいく過程でその人なりのオフィスとの関わり方が何通りもでてくると思うととても興味深いですよね。
 

会社のカルチャーをどう醸成していくのかという部分と同じように、個人は個人でしっかり真剣に自分の働き方に向き合っていくという意識を持つことが重要で、この両輪がうまく回りだすとオフィスはどんどん変わっていくと思うんです。自浄作用というか、その回っていく車輪の中でオフィス自身が同じように変容できるような、寛容性みたいなものをしっかり持っておく必要があるんじゃないとか思います。オフィスを「ただの入れモノ」にするかどうかは、私たちの意識で変わるのではないかと思います。
 

 
西田 徹太郎
NCM 大阪オフィスリニューアルプロジェクト
デザインチーム統括

日建スペースデザイン
執行役員

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関口 理絵 / コミュニティマネジャー(近日公開)